当たり前のように使い捨てられる傘
日本では年間1.3億本の傘が消費(日本洋傘振興協議会調べ)され、そのうち
約8,000万本がビニール傘で、その消費量は世界イチと言われています。
どこにでも売っていて手軽なビニール傘ですが、ビニール傘は廃棄する際、焼
却した場合はダイオキシンが発生し、不燃ごみとして廃棄した場合は埋め立て
処理されなくてはならないという問題があることは、環境への意識が高まり少しづつプラスチック製品が代替されている今も、多く語られることはありません。
安価で手軽なビニール傘はさまざまな素材で作られているため、分解に手間がかかり、リサイクルのための分別がしにくいという特徴も、処理の際に埋め立てられる大きな要因になっており、環境に大きな不可を与えてしまっています。
年間8,000万本というと途方もない数字で現実感がありませんが、日本だけで1日22万本のビニール傘が消費され、行き場を失くして埋め立て廃棄される様子を想像すれば、何気なくビニール傘を購入し使用している消費行動がどれだけ環境への不可が大きいかが見えてきます。
SDGsとしての、傘を大事に使い続けるということ
今この瞬間も大量のビニール傘が廃棄される一方、世代を越えて使い続けられる傘があります。
20年前の東京旅行時に、百貨店でお父さんが購入してきたRamudaの折り畳み傘を、ご自身で修理しながら今も使い続ける英国のお客様がいらっしゃいます。傘の調子が悪くなると、Ramudaの工房を訪れ、職人と会話しながら不具合が生じた箇所を丁寧に修理して、ひとつの傘を親子代々大事に使い続けるお客様もいらっしゃいます。
使い込めば使い込むほど、天然木の手元は味が出てきて、プラスチックで出来た簡易な傘にはない味わい深い雰囲気を醸し出すようになります。手元を交換すると違う傘のように生まれ変わることも愉しみのひとつです。
大量生産できない緻密に編み込まれた甲州織の布地は、傘を単なる雨をしのぐ道具ではなく、開いていてもたたんでいても、あなたの気分を表現するのに十分な存在感あるアイテムにします。丁寧にメンテナンスされ、使い続けられてきた傘は、まるで長年丁寧に手入れをされながら大事に使い続けられてきた本革の鞄のように、大切に磨かれ修理を施されてきた深みのある色のクラシックカーのように、世界でひとつだけのアイテムになっていきます。
傘を愛着なく使い捨てられるものから、雨の日が楽しみにになるような、差した瞬間に少し背筋が伸びるような相棒になれるよう、Ramudaは末永く大事に使いたいと思っていただけるような傘を日々企画して、丁寧に手作りしていくことが私たちの責務です。
ひとつの傘を大事に使う価値観が広まっていく事は、SDGs目標でもある「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」の実現にもつながっていきます。